小さな出版社が自社のコミックを書店に置いてもらい、最終的に読者に読んでもらうのは非常に難しいことです。KDP のおかげで、普通ではとてもリーチできないような読者に読んでもらったり、海外のファン層を開拓したりすることが可能になりました。また、Amazon の評価やレビューを通じて、我々の作品が世界中の読者にどのような影響を与えているのかを知ることができます。

KDP を利用すれば、自作の本を読者の手元に届けたり、ファン層を開拓することも簡単にできますし、自分の作品についての最終的な決定権を持つことができます。

漫画家になるという私の夢を家族はずっと支えてくれましたが、当時は一人暮らしで、他の仕事もしていたため、漫画を描く時間がなかなか作れませんでした。プロの漫画家になるために必要な技術を独学で身に付けなければならず、業界のトレンドをつかむのにも苦労しました。

しかし、KDP で出版、配信することで、私の漫画が英語やフランス語などに翻訳され、世界中の読者に読んでもらえるようになりました。それも日本に居ながらにしてです。また、たくさんのカスタマー レビューが届くので、自分の作品を客観的に捉えることができ、今後の作品のインスピレーションを得るきっかけになっています。

特に、五つ星の評価は大きなモチベーションになりますし、私の漫画が世界中の読者にさまざまな形で楽しまれていることがわかり、とても嬉しいです。

おかげさまで『メイドですから!』は長期にわたるベストセラーとなり、日本の漫画を世界に知ってもらうことができました。アメリカでの人気を受けてこの作品を日本と東南アジアでも出版する計画があり、プロの漫画家としてもっと精進しなければいけないと思っています。KDP から発売されるデジタル版の『メイドですから!』がより多くの皆様に読まれることを願っています。

ところで、Kindle ダイレクト・パブリッシングは、コミック本やグラフィック ノベルの作家にとってどのようなメリットがあるでしょうか? コミック本作家と小説家の両方に共通するメリットは数多くありますが、まったく異なる点もいくつかあります。私が物を描くようになったのは、高校生の頃にファンフィクション (二次創作) の世界に足を踏み入れてからです。Marvel Comics や DC Comics の名作を読んでいたことも理由の 1 つでしたが、自分で描けば大好きなヒーローの運命を自分の思いどおりに操れることや、ファン仲間から感想をもらえることが、大きなモチベーションになりました。大学を卒業してまもなく、夢を実現するときが来たと決心しました。私は才能豊かなアーティストである Jin Song Kim との共同制作で、最初のコミック本シリーズを出版しました。しかし、出版社との間にいろいろ問題が起きて、結局は現実的な仕事を探すことになりました。

時は経ち 2011 年。電子書籍の市場が注目を集めるようになってきました。私は自分たちのコミック本シリーズの著作権をすべて保有したままだったので、Amazon の Kindle ダイレクト・パブリッシングで電子出版に挑戦しました。当初、電子出版には少々課題がありました。EPUB 形式への変換が難しかったのです。電子書籍の著者の多くは専門業者に変換を依頼しますが、私にはグラフィック デザインと Web 開発についての幅広いバックグラウンドがあったので、変換を自分で行いました。初めてのグラフィック ノベルが Kindle ストアに登録されたときには、大した期待はしていませんでした。毎日の仕事で忙しかったのです。オンラインに登録されてから 3 か月間、販売レポートを調べることもしませんでした。ほとんど忘れていたと言っていいでしょう。しかしある日、KDP サポートから連絡がありました。$2,000 以上のロイヤリティを入金しなければならないので銀行口座の登録情報を更新してくれ、という話でした。どういうことだろうか? 私はあわてて帰宅し、オンラインで販売レポートを確認しました。果たして、その通りでした。軽いめまいを感じ、よろこびが全身を包みました。これだ。私はそう思いました。かつて大手出版社という壁の前で夢破れた私たちに、電子書籍業界が活動の場を与えてくれました。

最初の挑戦から約 6 年後に、私は Jin に電話をかけてランチに誘いました。このうれしい知らせを電話で説明するのはとても無理だと思ったのです。自分の思うとおりに創作ができるうえに、電子形式で即時配信できるので印刷費は不要、不条理な印税システムもありません。新たな共同制作に向けて彼を説得するのに時間はかかりませんでした。そのわずか 1 年後、私たちは 200 ページから成る最新のグラフィック ノベル『PANDORA End of Days』をオンラインで出版しました。

コミック本に再挑戦しようと思った大きなきっかけは Amazon KDP ですが、KDP セレクト プログラムへの登録にはまだ迷いがありました。さまざまな電子書籍市場に挑戦したいという気持ちがあったからです。しかし、数多くの著者が KDP セレクト プログラムの評判をブログに書いているため、無視することはできませんでした。最初は安全策として、90 日の KDP 独占販売期間が今年の夏にあたるように設定しました。冬商戦の前のお試しのつもりだったのです。その結果なんと 6 月の最初の 1 か月間だけでダウンロード数が大幅に増加し、Kindle Unlimited を開始したことでダウンロード数はさらに増えました。ランキングもうなぎ上りに上昇しました。早く KDP セレクトに登録しておけばよかったのに、と思わずにはいられません。

最後に、自分の作品を Kindle ストアで販売しようと考えているコミック本作家の皆さんには、Amazon の Kindle Comic Creator を使用することをお勧めします。これは高機能で新しい (しかも無料の) ツールで、EPUB 形式の煩わしさを解消し、どの Kindle モデルにも完全に適合するように画像のサイズを自動的に調整してくれます。KDP でチャンスをつかみましょう。これは未来の話ではなく、すでにそこにある現実です。次はあなたの番です!